はじめに ~AIの進化で私たちの生活はどう変わる?~
最近、AI(人工知能)という言葉を耳にする機会が非常に増えました。
ChatGPTをはじめとする生成AIの登場によって、文章作成や情報収集、資料作成など、これまで時間をかけていた作業が短時間でできるようになっています。
実際に、私自身もChatGPTなどのAIを仕事で活用するようになり、作業効率が大きく向上したと感じています。
文章を考えたり、情報を整理したり、新しいアイデアを検討したりする際に、AIは非常に便利な存在です。
一方で、AIの急速な進化によって「将来、人間の仕事がなくなるのではないか」という不安の声も聞かれます。
また、インターネット上では不正アクセスやサイトの乗っ取り、個人情報の流出など、便利な社会だからこその危険性も存在します。
こうした変化の中で、私は最近、一つのことを考えるようになりました。
「AIによって便利になった時間を、私たちは何のために使うのだろう?」
今回は、これからのAI社会における仕事の変化、そして人生の楽しみや生きがいについて、作業療法士としての視点も交えながら考えてみたいと思います。
AIの進化によって仕事はなくなるのか?
AIの発展によって、今後、多くの仕事の内容が変化すると予想されています。
世界経済フォーラムが発表した「未来の仕事レポート2025」では、2030年までに世界で約9,200万件の仕事が失われる一方、新たに約1億7,000万件の仕事が生まれると予測されています。
つまり、仕事が一方的になくなるというよりも、仕事の種類や求められる能力が大きく変化していく と考えられます。
例えば、事務作業やデータ入力、定型的な文章作成などは、今後さらにAIによる効率化が進むでしょう。
一方で、医療・介護・教育など、人と直接関わる仕事は、引き続き重要な役割を担うと予測されています。
もちろん、AIによる効率化が必ずしも労働時間の短縮につながるとは限りません。
しかし、AIを上手に活用することで、人間が本当に時間をかけるべき仕事に集中できる可能性があります。
大切なのは、AIと競争することではなく、AIとどのように付き合い、活用していくかではないでしょうか。
便利なAI社会だからこそ、注意したいこと
AIは非常に便利な技術ですが、良い面ばかりではありません。
近年は、偽の情報や画像の作成、詐欺への悪用、個人情報の漏えいなどが問題となっています。
また、AIとは直接関係のないものも含め、ホームページへの不正アクセスやシステムの脆弱性を悪用した攻撃など、インターネットを利用する上での危険性もあります。
実際に、情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威2026」では、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が組織向けの脅威として初めて選ばれました。
便利な技術を使うためには、個人情報の管理や情報の正確性の確認、セキュリティ対策などが欠かせません。
私自身もAIを活用していますが、AIの回答が必ず正しいとは限らないことを意識し、最終的には自分で考え、判断することを大切にしています。
AIは私たちの生活を支える道具であって、すべてを任せる存在ではない。
これからの時代には、そうした付き合い方が重要になると感じています。
AI時代だからこそ「人との関わり」が大切になる
私は作業療法士として、これまで多くの方々の生活やリハビリテーションに関わってきました。
作業療法士は、身体機能や認知機能の改善を支援するだけではありません。
その方が大切にしている生活や役割、楽しみ、生きがいに目を向け、「その人らしい暮らし」を支える仕事でもあります。
例えば、同じように歩くことが難しくなった方でも、
- もう一度、自分で買い物に行きたい
- 家族と旅行に出かけたい
- 好きな趣味を再開したい
- 自分のことはできるだけ自分でしたい
など、目標や大切にしていることは一人ひとり異なります。
AIは身体の状態を分析したり、運動方法を提案したりすることができるようになるでしょう。
しかし、その方の表情や言葉、これまで歩んできた人生に触れながら、一緒に悩み、考え、喜びを分かち合うことには、人との関わりならではの価値があります。
作業療法士もAIによって仕事内容が変わっていくと思いますが、だからこそ、目の前の方と向き合う時間を大切にしていきたいと考えています。
そして、これは作業療法士に限ったことではありません。
介護職、看護師、教師、接客業、地域活動など、さまざまな場面で人と人とのつながりは大切です。
便利さが増す社会だからこそ、相手の気持ちを理解し、寄り添い、一緒に何かを楽しむことの価値が、さらに見直されるのではないでしょうか。
仕事の効率化によって生まれる時間をどう使う?
これからAIの活用が進めば、仕事や家事などに必要な時間を減らせる場面も増えると考えられます。
もし、これまで2時間かかっていた作業が1時間でできるようになったら、皆さんは残りの1時間を何に使いたいでしょうか?
新しい仕事をすることも一つの選択肢です。
しかし、仕事以外にも、時間の使い方はたくさんあります。
家族や友人と過ごすこと。
旅行や趣味を楽しむこと。
散歩や運動で健康づくりをすること。
新しいことを学ぶこと。
地域の活動に参加すること。
あるいは、何もせず、ゆっくりと過ごすことも大切かもしれません。
これまでの社会では、仕事を中心に生活を考えることが多かったように感じます。
もちろん、仕事には収入を得るだけでなく、社会とのつながりや役割、生きがいといった大切な意味があります。
しかし、人生の充実は、仕事だけで決まるものではありません。
AIによって生まれた時間を、どのように自分の人生に活かしていくのか。
これからは、そのような視点も大切になってくるのではないでしょうか。
「生きがい」とは何だろう?
作業療法士として、私は「生きがい」という言葉を大切にしています。
生きがいは、何か特別なことを成し遂げることだけではありません。
毎朝の散歩を楽しみにしている。
庭の花が咲くことを嬉しく感じる。
友人との会話が楽しい。
家族に料理を作ることが好き。
誰かの役に立てることが嬉しい。
こうした日常の小さな楽しみや喜びも、その人にとって大切な生きがいだと思います。
健康寿命を考える際にも、単に長く生きることだけでなく、「どのように生活したいか」「何を楽しみに生きていくか」 が重要だと感じています。
AIがどれだけ進化しても、自分が何に幸せを感じるのか、何を大切にして生きたいのか、その答えは一人ひとり違います。
だからこそ、便利になっていく社会の中で、自分自身の気持ちに目を向ける時間が必要なのかもしれません。
AI時代に、もう一度自分の人生を振り返ってみませんか?
仕事や家事、子育て、介護など、日々の生活に追われていると、自分自身のことを考える時間は意外と少ないものです。
「やらなければいけないこと」に追われ、「自分がやりたいこと」を後回しにしている方も多いのではないでしょうか。
そこで、少しだけ時間をつくり、自分自身に問いかけてみてほしいと思います。
今の自分を振り返る5つの質問
- 最近、心から楽しいと感じたことは何ですか?
- これまでの人生で、大切にしてきたことは何ですか?
- 今の生活で、もう少し増やしたい時間はありますか?
- これから挑戦してみたいことは何ですか?
- 5年後、10年後、どのような自分でありたいですか?
すぐに答えが見つからなくても構いません。
人生の楽しみや目標は、年齢や生活環境によって変化していくものだと思います。
大切なのは、一度立ち止まって、自分の気持ちを振り返ってみることです。
そして、何か一つでも「やってみたい」と思えることが見つかったら、できる範囲から始めてみてはいかがでしょうか。
これからの社会に必要なのは「自分らしく生きる力」
AIの進化によって、これからの社会がどのように変化するのか、すべてを予測することはできません。
仕事のあり方が変わり、新しい技術やサービスが生まれ、私たちの生活も少しずつ変化していくでしょう。
その一方で、年齢を重ねることや、病気、障害、介護などによって、思い描いていた生活が変わることもあります。
そんなときこそ、「自分はどうしたいのか」「何を大切にしたいのか」という思いが、生活を考えるための大切な出発点になると感じています。
AIによって、できることが増える社会。
そして、人との関わりや自分らしい生活を、より大切にできる社会。
私は、その両方が実現していくことを期待しています。
おわりに ~人生の主役は、いつでも自分自身~
AIは、私たちの仕事や生活をより便利にしてくれる可能性を持っています。
しかし、便利になること自体が人生の目的ではありません。
便利になった時間をどう使い、誰と過ごし、何を楽しみ、どのような人生を送りたいのか。
そこに、私たち一人ひとりの大切な価値観があるのではないでしょうか。
私自身もAIを活用しながら、仕事の効率を高めるだけでなく、人との関わりや、自分自身の生活を大切にしていきたいと考えています。
そして、作業療法士として、皆さんが自分らしい生活や楽しみを見つけられるよう、お手伝いしていきたいと思っています。
AIが進化する時代だからこそ、もう一度、自分自身と向き合ってみませんか?
「自分は、これからどう生きたいのだろう?」
そんな問いを大切にしながら、毎日の生活の中に小さな楽しみや喜びを見つけていけたら素敵だと思います。
Smile Connection(スマイルコネクション)
健康寿命の延伸と、自分らしい暮らしをサポート。
作業療法士として、身体機能や生活動作への支援だけでなく、趣味や楽しみ、人とのつながり、生きがいを大切にした支援を行っています。
豊橋市を中心に、自費訪問リハビリ、健康づくり、介護予防、認知症予防などの活動に取り組んでいます。
「いつまでも、自分らしく、笑顔で暮らせる毎日を」
