私は40歳になった今でも、休みの日になると「何かしなければもったいない」と思ってしまいます。
せっかくの休日なのだから、勉強しよう。
仕事に役立つことを調べよう。
家のことを片付けよう。
将来のためになることをしよう。
そんなことを考えているうちに、気がつけば休日まで「やるべきこと」でいっぱいになっています。
私は約20年間、作業療法士として病院・施設・在宅で働き、急性期、回復期、維持期、緩和期と、さまざまな時期にある方のリハビリに関わってきました。
その中で、健康寿命を考えるうえでは、身体の健康だけでなく、「楽しみ」「趣味」「役割」「人とのつながり」「生きがい」が大切だと、多くの方にお伝えしてきました。
ところが、自分自身を振り返ってみるとどうでしょう。
「私自身は、ちゃんと楽しめているのだろうか?」
そんな疑問を持つようになりました。
「何もしない=時間を無駄にした」ではない
休日に何もしないと、もったいない。
これは、私自身がなかなか手放せない考え方です。
仕事をしていれば「今日は頑張った」と思えます。
勉強をすれば「成長できた」と感じます。
家事をすれば「やるべきことができた」と安心します。
反対に、昼寝をしたり、ぼんやりテレビを見たり、散歩をしたりして一日が終わると、
「今日、何をしたんだろう」
と思ってしまうことがあります。
しかし、健康寿命という視点から考えると、休日を「何を達成したか」だけで評価する必要はないのではないでしょうか。
身体を休ませる。
頭を仕事から離す。
好きなものを食べる。
外の空気を吸う。
家族と話す。
くだらないことで笑う。
何となく興味を持ったことをやってみる。
こうした時間も、長く健康に暮らしていくためには大切な時間です。
休むことは、時間を捨てることではありません。
むしろ、これからの人生を元気に過ごすために時間を使っている、と考えてみてもよいのかもしれません。
「生きがいを持ちましょう」と言ってきた自分が、生きがいに悩んでいる
作業療法士として働いていると、その人にとって意味のある活動を考える機会がたくさんあります。
「退院したら何がしたいですか?」
「昔はどんなことが好きでしたか?」
「家でどんな役割を続けたいですか?」
そんなことを患者さんや利用者さんと一緒に考えてきました。
しかし、自分に同じ質問をしてみると、意外と答えるのが難しいのです。
「仕事以外で、何がしたい?」
そう聞かれると、すぐには答えられません。
仕事が嫌いなわけではありません。むしろ仕事にやりがいを感じてきたからこそ、休みの日にも仕事のことを考えてしまうのだと思います。
ただ、これから40代、50代、60代と年齢を重ねていくことを考えると、仕事だけが自分の楽しみや役割になってしまうことには少し不安があります。
いつか仕事を辞める日は来ます。
そのとき、
「仕事がない自分には何が残るのだろう?」
そう考えると、今から仕事以外の楽しみを少しずつ増やしていくことも、健康寿命への備えなのではないかと思うようになりました。
趣味は「見つける」のではなく「育てる」
「趣味を持ちましょう」と言われても、趣味がない人にとっては意外と難しいものです。
私自身も「何か趣味を見つけなければ」と考えると、それ自体が宿題のようになってしまいます。
そこで、趣味を無理に探すのではなく、
「ちょっと気になることを試してみる」
くらいから始めてみようと思います。
散歩する。
喫茶店に行く。
写真を撮る。
料理をしてみる。
本屋を歩く。
家庭菜園を始める。
旅行先を調べる。
映画を見る。
スポーツをする。
昔好きだったことをもう一度やってみる。
やってみて面白くなければ、やめてもいい。
続かなかったからといって失敗ではありません。
10個試して、その中の1個が「またやりたい」と思えるなら、それで十分ではないでしょうか。
趣味は最初から「一生続けたいもの」でなくてもよいのだと思います。
小さな「楽しい」を繰り返しているうちに、いつの間にか趣味になっている。
私はそんなふうに考えることにしました。
私が休日に試してみたい「3つのルール」
これから私は、休日に次の3つを意識してみようと思います。
①「やるべきこと」だけで一日を埋めない
勉強、仕事、家事などの「やるべきこと」があっても構いません。
ただし、休日のすべてをそれで埋めない。
30分でも1時間でも、「役に立たなくても自分がやりたいこと」の時間を作ってみます。
② 何もしない時間を予定に入れる
「時間が空いたら休む」では、私はおそらく何かを始めてしまいます。
そこで逆に、
「14時から15時は何もしない」
というように、休むこと自体を予定にしてみます。
昼寝でもいい。
コーヒーを飲んでもいい。
散歩でもいい。
ぼんやりしていてもいい。
何か成果を出すためではなく、自分を回復させるための時間です。
③ 休日の評価基準を「できたこと」から「感じたこと」に変える
休日の夜に、
「今日は何ができた?」
ではなく、
「今日は何が楽しかった?」
「何をしているときに気持ちが楽だった?」
「もう一度やりたいことはあった?」
と自分に聞いてみます。
これは、自分に合った趣味や楽しみを見つけるヒントにもなると思います。
「休む力」も健康寿命に必要なのかもしれない
私はこれまで、健康寿命を延ばすためには、運動や食事だけではなく、生きがいや社会参加、趣味、人とのつながりなども大切だと考えてきました。
しかし今回、自分自身の休日について考えてみて、もう一つ大切なものがあるのではないかと思いました。
それが、
「休む力」です。
頑張ることは大切です。
一方で、頑張らない時間を自分に許すことも、長い人生には必要なのではないでしょうか。
40歳の私は、まだ「何もしないともったいない」と思ってしまいます。
だからこそ、これから少しずつ練習してみようと思います。
何もしない休日があってもいい。
仕事とは関係のないことを楽しんでもいい。
役に立たないことに時間を使ってもいい。
そして、自分が「楽しい」と思えるものを少しずつ増やしていく。
それは決して時間の無駄ではなく、将来の自分の健康寿命を支える準備なのだと思います。
私は作業療法士として多くの方に「その人らしい生活」について考えてきました。
これからは、自分自身にも同じ問いを向けてみたいと思います。
「仕事をしていない私は、何をしていると楽しいのだろう?」
すぐに答えが出なくてもいい。
休日を使って、その答えを少しずつ探していくこと。
それ自体が、これからの私の「健康寿命づくり」なのかもしれません。
