―『健康になる技術 大全』を読んで、健康習慣について考えたこと―
健康のためには、運動した方がいい。
食べ過ぎない方がいい。
お酒は控えた方がいい。
睡眠をしっかりとった方がいい。
こうしたことは、多くの人がすでに知っているのではないでしょうか。
それでも、健康的な生活を「続ける」ことは簡単ではありません。
今回、林英恵さんの著書『健康になる技術 大全』を読み、改めて感じたのは、健康寿命を延ばすためには、「何をすれば健康になるか」を知るだけではなく、「どうすれば続けられるのか」を知ることが大切だということです。
特に興味深かったのが、行動科学という考え方でした。
健康的な行動ができないのは「意志が弱いから」だけではない
健康的な生活が続かないと、
「自分は意志が弱い」
「また続かなかった」
「自分はだめだ」
と思ってしまうことがあります。
しかし、私たちの行動は本人の意思だけで決まっているわけではありません。
例えば、
- どのような仕事をしているのか
- どこに住んでいるのか
- どのような友人と付き合っているのか
- どのような情報を普段見ているのか
- 周囲にどのようなお店や施設があるのか
こうした環境も、私たちの行動に直接的・間接的に影響しています。
さらに、職業や収入、教育などを含む社会経済的な状況も、健康的な習慣を取りやすいかどうかに関係します。
つまり、
健康的な生活を送れるかどうかを、すべて「本人の努力」の問題にしてはいけない
ということです。
健康づくりを考える時には、本人だけを見るのではなく、その人を取り巻く環境を見ることも必要なのだと思います。
人間には「今のままでいたい」という性質がある
健康のために生活を変えようと思っても、なかなか変えられない。
その背景の一つに「現状維持バイアス」があります。
人間には、慣れている状態をそのまま維持しようとする傾向があります。
例えば、
「夜になるとお酒を飲む」
「テレビを見ながらお菓子を食べる」
「仕事が終わったらソファに座る」
こうした行動を長く繰り返していると、それが自分にとっての「普通」になります。
頭では、
「変えた方がいい」
と分かっていても、身体はいつもの行動を選択してしまいます。
だからこそ、生活を変える時には、
自分が知らないうちに影響を受けている「考え方や行動の癖」に気づくこと
が大切なのだと思います。
健康になるためには「頑張る」より「習慣にする」
健康的な行動を毎回、
「今日は頑張って運動しよう」
「今日は我慢しよう」
と考えていては、疲れてしまいます。
そこで重要になるのが「習慣化」です。
習慣になれば、
「やろうか、やめようか」
と毎回判断する必要が少なくなります。
歯磨きのように、生活の一部になってしまえば、健康的な行動を続けることはずっと楽になります。
習慣化には個人差や行動による違いがありますが、一般的には2か月前後、場合によってはそれ以上の期間が必要になることもあります。
そのため、
「1週間続かなかったから、自分には無理だ」
ではなく、
ある程度長い期間をかけて生活の一部にしていく
という視点が必要なのだと思います。
習慣が形成されるまでには、大きく分けて、
- 決意する
- 行動する
- 行動を繰り返す
- 習慣として定着する
という段階があります。
最初から完璧な習慣を目指すのではなく、まずは小さな行動を繰り返すことが大切です。
悪習慣には「スイッチ」がある
一方、悪い習慣は、すでに普段の生活の中に組み込まれています。
そのため、自分では気づかないうちに始まっていることがあります。
例えば、
「仕事でストレスがたまったら、お酒を飲む」
「疲れたら甘いものを食べる」
「夜になったらスマートフォンを見る」
といった行動です。
ここで大切なのは、
悪習慣そのものだけを見るのではなく、その前に何が起きているのかを見ること
だと思います。
ストレスなのか。
疲労なのか。
空腹なのか。
時間帯なのか。
人間関係なのか。
その「きっかけ」が分かれば、別の行動に置き換えられる可能性があります。
「〇〇しない」ではなく「〇〇する」に変えてみる
行動を変える時に、
「お菓子を食べない」
「お酒を飲まない」
「夜更かししない」
と考えることがあります。
しかし、「しない」だけでは、その時間や行動に空白ができます。
そこで、
やめたい行動を、別の行動へ置き換える
という考え方が有効です。
例えば、
「お菓子を食べるのをやめる」
ではなく、
「お腹が空いたら果物を食べる」。
「お酒を飲み過ぎない」
ではなく、
「お酒を1杯飲んだら、次は水やお茶を飲む」。
このように、「我慢」だけで終わらせず、新しい行動を準備しておくことが大切です。
私自身の「お酒の習慣」を考えてみる
この本を読みながら、私は自分自身のアルコールとの付き合い方についても考えました。
単純に、
「健康のためにお酒をやめよう」
だけでは、なかなか続かないかもしれません。
そこで、
お酒を飲んでいた時間を、別の価値のある時間に変える
という考え方が良いのではないかと思いました。
例えば、
お酒を飲んでいた30分を、本を読む時間にする。
お酒に使っていたお金を貯金する。
そのお金を旅行や趣味に使う。
早く寝て、翌朝運動する。
このように考えると、
「お酒を我慢する」
という発想から、
「自分が大切にしたいものへ時間やお金を移す」
という考え方に変わります。
これは、自分自身でも実践してみたいと思っています。
まずは、今まで当たり前になっていた悪習慣が、
「いつ」
「どんな時に」
「何をきっかけに」
始まっているのかを確認するところから取り組んでみたいと思います。
健康的な人を「味方」にする
もう一つ印象に残ったのが、周囲の人の影響です。
私たちは思っている以上に、周囲の人から影響を受けています。
運動をしている人の近くにいれば運動の話が増えます。
健康的な食生活をしている人と関われば、食事について考える機会が増えます。
新しいことに挑戦している人と一緒にいれば、自分も行動しやすくなります。
そのため、
健康的な生活をしている人が集まる場所へ行くこと
健康的な生活をしている人の行動をまねしてみること
も、一つの健康づくりなのだと思います。
「健康な人が集まる場所」をつくっていきたい
これは、今後スマイルコネクションで取り組んでいきたいことにもつながっています。
健康寿命を延ばすというと、
運動をする。
食事を改善する。
認知症を予防する。
といった個人への支援が中心になりやすいと思います。
しかし、それだけでなく、
健康的な生活をしたい人が集まり、お互いに良い影響を与え合える場所をつくること
も大切ではないでしょうか。
運動する人。
人との交流を楽しむ人。
新しい趣味を見つける人。
将来のお金や生活について考える人。
誰かの挑戦を応援する人。
そんな人たちが自然に集まり、
「自分も少しやってみようかな」
と思える環境ができれば、健康づくりはもっと続けやすくなるのではないかと思います。
私自身も、健康を伝える立場として、
「健康になりましょう」
と言うだけではなく、
自分自身が健康的な生活を実践する一人になりたい
と改めて感じました。
健康寿命を延ばすのは「完璧な生活」ではなく「続けられる生活」
健康づくりでは、100点を目指さなくてもよいのだと思います。
毎日運動できなくてもいい。
時には食べ過ぎる日があってもいい。
お酒を飲む日があってもいい。
大切なのは、一度崩れたからといって、
「もうだめだ」
とすべてをやめてしまわないことです。
自分の生活を振り返り、
「これは変えられそうだ」
というものを一つ見つける。
そして、
「やめる」
だけではなく、
「代わりに何をするか」
を考える。
それを繰り返し、少しずつ生活の中に組み込んでいく。
健康寿命を延ばすために本当に大切なのは、
一時的に頑張ることではなく、無理なく続けられる仕組みをつくること
なのかもしれません。
私もまずは、自分自身の悪習慣を一つずつ見直すところから始めてみたいと思います。
そしてスマイルコネクションでも、運動や認知症予防だけでなく、
「健康的な生活を続けられる環境づくり」
まで一緒に考えられる活動をしていきたいと思っています。
